50.韓国キャンプ②

新田 渉世

 2006年度全日本新人王・MVPの黒田雅之を連れて、再び韓国の元WBA世界バンタム級・スーパーバンタム級2階級チャンピオン洪秀煥(ホン・スーハン)を訪ねた。

 今回は、別のジム所属のK選手も同行した。もともと親しくしていたK選手から「韓国の新田さんの先生の所に修行に行きたいのですが、いかがでしょうか」と、以前から相談メールをもらっていたのだ。
「どうせなら黒田と一緒に行って、いろいろ勉強して来よう!」私はそう言って3人での訪韓を決めた。黒田にとっては、今年の3月に続いて2度目の韓国キャンプとなった。

 前回利用したツアー旅行では、仁川(インチョン)国際空港に到着後、ツアー客らと共にお土産屋さん巡りに付き合わなくてはならないなど、無駄な時間を過ごさなくてはならないことが多かった。そういうわけで今回は、フリーツアーでの予約を取ることにした。
 ホテルはホンさんが現地で手配してくれることになり、「泊まれればいいので、なるべくジムから近くて安いホテルをお願いします」と頼んでおいた。

 いよいよ仁川国際空港へ到着すると、PABAの試合役員の方が出迎えてくれた。「おお、さすがホン・スーハン!」我々は車で約1時間半をかけて“スター・ボクシングジム”というホンさんのジムに到着した。
 ホンさんは企業での講演に出かけていて不在だったが、ハンナムジムのキム会長や、ボクシングライターのソン氏など、ホンさんの仲間達が熱烈歓迎をしてくれた。
 旅の疲れもあったが、一日も無駄にしたくないという思いから、2人は早速ジムワークを開始した。ホンさんは練習後に我々と合流することになっていた。

 練習が終わって、キム会長やソン氏らと焼肉を頬張っていると、Mr.ホン・スーハンが講演を終えて戻って来た。「オー、クロダ!ゲンキ?!」相変わらずエネルギッシュなオーラを撒き散らしながら、韓国の英雄が豪快に笑った。K選手は、初めての韓国に少し戸惑いつつも、楽しそうに焼肉をつついていた。
 
 会食が終わり、チェックインの為にホテルへ向かうことになった。依頼していた通り、ジムから近いロケーションの安いホテルを予約しておいてもらった。
 ところが、ホテルに到着すると何となく普通と違う雰囲気に気が付いた。「コレって、ラブホテルですよね・・・」私がそういうと、「アンタ達はボクシング選手だから関係ないでしょ!」とホンさんが豪快に笑った。

 確かに“ジムから近くて安いホテル”には違いない。「ボクシング選手だから関係ない・・・」我々は何となく納得してしまった。もちろん、一人一部屋である。それがせめてもの救いだったのだが・・・
 韓国滞在中、ここが我々の拠点となることになった。黒田の笑顔が少し引きつっていた。 (つづく)


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                        =概要=
         日本初の国立大卒チャンプが開いた小さなボクシングジム。
         そこに集う、プロ選手、練習生、トレーナー、そして自分自身。
         皆なんらかの傷を負い、なんらかの挫折感を噛み締めている。
         でも、ボクシングは人を変える。負けることで、人は変わる。
                    そう、「負け」に負けるな――
         スポーツによる魂の再生を描く、感動のヒューマン・ドキュメント。

  
  ▼新田ボクシングジム
神奈川県川崎市多摩区登戸2832 小田急線向ケ丘遊園駅徒歩5分
TEL 044-932-4639
http://www.nittagym.com/

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